SESSION 6

財務計画と資金調達

数字で証明する - 融資審査の核心

学習目標

  1. 5年間の損益計画(P/L)を作成できる
  2. キャッシュフロー計画と返済計画を策定できる
  3. 損益分岐点を計算し、達成可能性を説明できる
  4. 資金使途を明確に説明できる
  5. 融資審査で「返済能力」を証明できる

1. 財務計画の重要性

融資審査官の最大の関心事: 「本当に返済できるのか? その根拠は?」

財務計画は事業計画書の核心です。市場分析や組織体制が良くても、数字で返済能力を証明できなければ融資は通りません。

ポイント: 楽観的すぎず、悲観的すぎない「説得力のある数字」が重要。根拠を示せる計画を作成します。

2. 売上計画

Session 4で策定した価格戦略に基づき、5年間の売上を計画します。

2.1 売上構成

収益源 単価 Y1 Y3 Y5
入門コース 25万円 40名 80名 120名
中級コース 50万円 20名 50名 80名
上級コース 50万円 10名 30名 50名
法人研修 200万円/社 3社 8社 15社
FC加盟金 300万円 - 3件 2件
FCロイヤリティ 10万円/月 - 3校 8校

2.2 売上推移

年度 売上高 成長率
1年目 6,100万円 -
2年目 1億2,000万円 +97%
3年目 1億8,600万円 +55%
4年目 2億4,000万円 +29%
5年目 2億8,800万円 +20%

3. 費用計画

3.1 固定費

項目 月額 年額 備考
人件費 250万円 3,000万円 5名体制
家賃 50万円 600万円 教室・実習スペース
リース料 30万円 360万円 PC・機材
その他固定費 20万円 240万円 保険・通信等
固定費合計 350万円 4,200万円

3.2 変動費

項目 変動費率 内訳
教材費 売上の5% テキスト、消耗品
外部講師 売上の10% 専門講師委託
広告宣伝費 売上の8% Web広告、展示会
変動費合計 売上の23%

4. 損益計画(P/L)

項目 Y1 Y2 Y3 Y4 Y5
売上高 6,100 12,000 18,600 24,000 28,800
変動費(23%) 1,403 2,760 4,278 5,520 6,624
粗利益 4,697 9,240 14,322 18,480 22,176
固定費 4,200 5,000 6,000 7,000 8,000
営業利益 497 4,240 8,322 11,480 14,176
営業利益率 8.1% 35.3% 44.7% 47.8% 49.2%

※単位: 万円

審査ポイント: 1年目から黒字化。2年目以降は高収益体質。FCロイヤリティ収入により利益率が向上。

5. キャッシュフローと返済計画

5.1 返済計画

項目 内容
借入金額 8,000万円
金利 年2.0%(想定)
返済期間 7年(据置1年含む)
年間返済額 約1,400万円(元利均等)

5.2 返済余力(DSCR)

年度 営業CF 返済額 DSCR 判定
2年目 4,500万円 1,400万円 3.2倍 余裕あり
3年目 8,500万円 1,400万円 6.1倍 十分
5年目 14,500万円 1,400万円 10.4倍 十分
DSCR(Debt Service Coverage Ratio): 返済原資/返済額。1.2倍以上が目安。本計画は2年目から3倍超で十分な返済余力。

6. 資金使途

審査官の質問: 「8,000万円を何に使うのか? なぜその金額が必要なのか?」

6.1 設備投資

項目 金額 見積有無
施設整備(教室・実習スペース) 2,000万円 工務店3社
PC環境・BIMソフト 500万円 大塚商会他
ドローン機材 300万円 DJI正規代理店
3Dスキャナー 800万円 Leica代理店

6.2 運転資金

項目 金額 見積有無
教材開発 600万円 自社見積
人件費(12ヶ月) 2,000万円 給与計算書
マーケティング 800万円 広告代理店
予備費 1,000万円 6ヶ月分
合計 8,000万円

7. 【内部用】イグジット戦略検討

※本セクションは融資審査書類には含めません。経営判断の参考資料として作成します。

5年後のシナリオ比較

シナリオ 想定条件 想定価値
M&A売却 EBITDA 1.1億円 x 5倍 5.5億円程度
IPO準備 売上10億円、営業利益率30%以上 時価総額30-50億円
継続保有 FC展開20拠点、ロイヤリティ収入 年間CF 2-3億円

バリュエーション試算

  • 売上倍率: 1.5-3.0倍(5年目売上2.8億円 x 2倍 = 5.6億円)
  • EBITDA倍率: 4-7倍(EBITDA 1.3億円 x 5倍 = 6.5億円)
  • 想定レンジ: 5-7億円

本日のワークシート

  1. 自社の5年間P/Lを作成する(売上・費用の積み上げ)
  2. キャッシュフロー計画を作成し、返済余力(DSCR)を確認する
  3. 損益分岐点を計算し、達成可能性を検証する
  4. 主要設備の見積を3社から取得するリストを作成する
  5. 【内部用】イグジットシナリオを検討する